SUPER GT 第2戦 富士
5月3日 予選9位
5月4日 決勝1位
グッドスマイル 初音ミク Z4、SUPER GT 第2戦でも優勝!
■トラブル続出で予選は奮わず9位。波乱の予感が……
SUEPR GT 第2戦 富士スピードウェイはゴールデンウィークまっただ中の5月3~4日に開催された。
予選日の3日は、からっと晴れ上がった青空。気温も暖かく、走る方も見る方も快適な天候だった。朝の練習走行からマシントラブルが発生し、調子が戻らないまま予選に挑むこととなった。
予選1回目は片岡選手がアタックを担当。「1‘38.778」というタイムを記録し、7位で危なげなく予選を通過した。
2回目のステアリングを託されたのは谷口選手。ここで予選のグリッドが決まるため、少しでも上の順位で終えることが重要となる。マシンのフィーリングがいまだに回復しないまま、谷口選手は果敢にアタック。「1‘38.635」を叩きだしたものの、ライバルたちの躍進もめざましく、38秒台前半にベストタイムが集中(ポールは37秒台)し、最終的に9位、決勝は9番グリッドを獲得した。
■ライバルがトラブルで脱落する中、ミスなく走る
迎えた決勝日。メカニックの懸命の修理で予選日に発生したトラブルは復旧したものの、朝のフリー走行で再び電装系にトラブルが発生。サーキットサファリも休んで全力で修復を目指した。ドライバーのふたりはほとんど朝の走行ができず、ぶっつけ本番に近い形でレースに挑むことになってしまった。
約9万人が訪れた富士スピードウェイは、ピットウォークもグリッドウォークも長蛇の列で、大盛況。天候も富士にしては珍しく安定して晴れていた。路面温度は30度を超えていたようで、GSRはもちろん、ほかのライバルチームも決勝レースはピットインのタイミングが重要になってくる。
スタートドライバーを務めるのは片岡選手。9番手からのローリングスタートだったが、直後に抜かされてしまい、10番手のまま数周続いた。しかし、4周目に #88 ランボルギーニがストレートエンドで大クラッシュ、そのままセーフティーカーランとなった。今回のレースは500kmの長丁場なので、2回のピットイン&ドライバー交換が義務づけられている。セーフティーカーラン中にピットインするのは常道だが、さすがにレースが始まって間もないためか、みなステイ(ピットインせず)だった。
セーフティーカーが解除になったあと、片岡選手は9位に順位を戻したが、そこから上になかなか上がれず膠着状態になる。しかし、再びレースは大きく動いた。17周目にGT500のマシンが出火しストップ、そのままセーフティーカーランになった。さすがにここで多くのチームがピットインを選択。この選択が大きく明暗を分けた。もちろん、ミクZ4はピットイン。タイヤ4本とドライバー交代をこなして、谷口選手が出陣した。この時点で18位だが、徐々に順位を上げていき、33周目には10位入賞圏内に戻ってきた。そして、全車が1回目のピットインを終える頃にはなんと3位に。そして、56周目に#11 ゲイナー SLSを抜いて2位、60周目に1位を走っていた#3 NDDP GT-Rがピットインしたため、ついに1位に躍り出る。
■こぼれ落ちた奇蹟を掴んだ勝利!
その後、ミクZ4も62周目にはルーチンのピットインで片岡選手に交代。タイヤも4本交換で送り出した。このとき、ピット作業を短縮し、圧倒的な速さで2回目のピットインを終えていた#0 無限 CR-Zに前に行かれてしまう。約5秒差だったが、ミクZ4とほぼ同じペースで走っているので、差が詰まらない。後ろからは#11が迫っていた。
全車がピットインしたあとは2位になっていたものの、すぐ後ろに迫る#11とコンマ数秒の戦いを繰り広げていたため、なかなか前を走る#0には追いつけない。ブレーキングの良さを活かして、コーナーの入り口で何度も勝負をしかけてくる#11。しかし、片岡選手は巧みにブロックし、懸命に2位を守る。
残り10周を切った時点で表彰台は#0、ミクZ4、#11の順番かと思われていたが、レースは最後までわからない。ここに来て、再びレースは動く。なんと、トップを走る#0のペースがみるみる落ちてきたのだ。5秒差をキープしていたが、ラップを重ねるごとにその差は縮まり、とうとう3秒差になった。
96周目、ついに#0とのバトルは決着を迎える。なんとダンロップコーナーで#0はスピン、ミクZ4と#11はその横をすり抜ける。残り数周、再び#11とのバトルになった。
なんとしてでも前に出たい#11からのプレッシャーを、ミクZ4を駆る片岡選手はそのテクニックをフルに駆使してはね除ける。最終的に1位を守り切って、ゴールに帰ってきたのだった。
ライバルたちのトラブルなど、運に助けられた要素は大きいが、針の穴を通すかのような運をその手に掴めたのは、ドライバーやメカニックなどがミスなく仕事を完遂したからこそ。これで、2014年は2勝目。開幕2連勝という、SUPER GT始まって以来の偉業を達成した。
次戦は5月31日~6月1日に大分はオートポリスで開催される。ウェイトハンデは80kgにもなるが、3勝目を狙ってチーム一丸となって挑む。
■関係者コメント
最初は僕が監督だとこんなに良いことが無いのかと思いました。タイヤが決まらないとか駆動系のトラブルだったりと決勝前の練習走行もまともに走れない状態でした。しかし、決勝レースでは運にはずいぶん恵まれたというのもありますけど、良いペースで最初から最後まで走れたからこそ運をつかみ取れたんだなと思いました。本当にこのチームは強い! ライバルたちも今回はトラブルに巻き込まれたりトラブルを起こしてしまったりという部分もありましたが、その中でミスなくレースをすることがどれほど重要かということですね。今回の結果で、だいぶ今年の勢力図が見えてきました。見えてきている中で大量得点を取れたというのは、チャンピオンシップに向けてかなり有利になったんじゃないでしょうか。この優勝は右京さんに捧げたいと思います。
今日の結果は意外でした。ほかのライバルチームたちも、トラブルがなかったらみんな優勝を狙えるレベルでしたね。とくにピットでのトラブルが多くて、逆に我々はノーミスだった。そのことが明暗を分けました。もちろん、ラッキーだった部分もあって、たとえばマシントラブルが決勝レース前までに出きって、さらに修復できたこと。これも勝因のひとつです。予選日に発生したシフトダウンしないトラブルを修理して決勝日の練習走行に臨んだら今度はABSのトラブルが……と、かなりトラブル続きだったんですよ。この状況で上位を走れて、しかも優勝できたというのは、いろいろと恵まれてましたね。レース中にミスをしていたら、これらの運をすべて取りこぼしていたと思います。ミスしないというのは勝つために重要な要素ですね。
今回、僕たちは速さで勝ったレースではないと思います。予選も9番手でしたしね。セーフティーカーで荒れたレースの中、チームの的確なジャッジと、あのタイミングでピットに入らなかったクルマもいたので、おかげで上位にいけました。また、ライバルチームにも結構トラブルが起きた。正直、僕らよりも速くて勝ったであろうクルマはたくさんいたけれど、僕と片岡が諦めずに執念で走っていたこと、セーフティーカー時のジャッジ、そして運が味方してくれた。この3つが勝因だったと思います。何はともあれ、1位でゴールできたことは最高にうれしいです! ただ、次からウェイトハンデが80kgになるので、そうとう苦しいでしょうね。でも取れるうちに大量得点を取れて良かった!
このチームを応援してくれているみなさんに覚えておいてもらいたいのは、昨年から勝ちまくってるように見えるけど、SUPER GTで勝つってことはそんなにイージーではないということ。チームすべてがうまく機能していたので今回も勝てましたが、勝つのが当たり前だと思わないでほしいということです。開幕2連勝って本当に偉業を達成しているんですよ!
最後のあの状況から勝てて本当に良かったです。なんとか抑えきることだけ考えてましたが、ぶつかってリタイヤというのは避けなければいけませんでした。最悪、リスクを考えて先に行かせちゃうという手もあったんですけど、それは最悪中の最悪なので。決勝レースがスタートしたときにはマシンのフィーリングも悪くて、とてもじゃないけど優勝できるレースではないなと思っていましたが、最初のセーフティーカーのときにチームがベストのタイミングでピットに入れてくれて、次のスティントで谷口さんがガンガン抜いてくれて、このときから「あれ、もしかして?」と思い始めてたんですが、自分の番になったら思うようにペースが上げられない。具体的に言うと、自分がイメージしていたよりもコンマ3秒遅かった。だけど前を行く#0が思ったほどペースが上がってないので、後半がキツくなるだろうと予想しました。たぶん、最後は追いつけるだろうと。あとはすぐ後ろの#11を抑えつつ、#0に追いつければいけるだろうと確信しました。勝てるレースを勝ったんではなくて、勝てそうになかったものをみんなの頑張りや応援で勝てるレースにしちゃった。そんなレースでしたね。