GOODSMILE RACING & TeamUKYO RACE REPORT 1
2021 AUTOBACS SUPER GT Round1 たかのこのホテル OKAYAMA GT 300km RACE
会期:2021年04月10日~11日
場所:岡山国際サーキット(岡山県)
観客:発表なし
予選:27位
決勝:14位
獲得ポイント:0P
シリーズ順位:-位(0P)
【4/10(土)】公式練習、ノックアウト予選
天候:晴れ
コース:ドライ
気温/路面温度 GT300 Q1開始時15℃/32℃、GT300Q2開始時16℃/33℃
2020年は新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の影響で昨年7月から11月の間に3サーキットのみで8戦開催されたが、2021年は2年ぶりに、4月の岡山国際サーキットで幕を開けた。昨年に引き続き入場客数は制限され、レース関係者のPCR検査が義務付けられるなど、厳重な対策と準備がされてのシリーズ開幕となった。
4号車GOODSMILE RACING & TeamUKYOはチーム体制に変更はなく、監督に片山右京氏、ドライバーに谷口信輝選手、片岡龍也選手を継続し、マシンはMercedes-AMG GT3を走らせる。
例年通りGT300クラスは様々な車種がエントリーしておりBoP(バランス オブ パフォーマンス/性能調整)で重量やエンジンパワーを調整して、イコールコンディションになるようにしている。それに加えて今大会では、コンパクトなレイアウトの岡山国際サーキット専用に、年々速くなっていくタイムを抑制して安全マージンを拡大することを目的とした特別BoPも採用された。これによりMercedes-AMG GT3は通常のBoP重量に加えさらに39kgを載せて走ることとなった。
このような条件のもと、午前9時45分からの公式練習は、まずは片岡選手のドライブで始まった。
「晴れの国岡山」に相応しい快晴ながら、気温8度、路面温度21度という肌寒いコンディションのなか、持ち込んだセッティングとタイヤの確認を進める。まずは10周目に1分27秒709を記録したところで最初のピットイン。その後も数周でのアウトインを繰り返し、セッション開始1時間の時点で1分27秒126までタイムを詰めていった。
この自己ベスト記録直後に他車のアクシデントで赤旗が掲示された。セッション中断のタイミングで谷口選手にドライバー交代を行い、ここからロングランでレースペースを確認する。
レース向けのセッティングを確認する谷口選手は、計測7周目には1分28秒660を記録した。今シーズンから競技規則が変わり7セットから6セットとなった持ち込みタイヤはソフト、ハードの2種類だが、両方とも路面温度に対して適切なレンジから外れており、思うようにタイムが伸びない。
ピットインを挟んで11時10分からの10分間のGT300クラス占有走行も引き続き谷口選手が担当した。タイヤの熱入れを進め、タイムを出そうとしていたセッション終了間際、スピン車両があり赤旗が掲示されてしまった。これによりベストタイム更新はならず片岡選手が記録した1分27秒126がベストタイムとなった。クラス順位は17番手、午後の予選でも苦戦が予想される厳しい結果となった。
午後2時から開始されたノックアウト予選は、GT300クラス全29台のマシンを前年度の最終ランキング順にA組とB組に振り分けを受け行われた。昨年ランキング7位だったグッドスマイル 初音ミク AMGはA組で出走する。
Q1A組を担当する片岡選手と4号車グッドスマイル 初音ミク AMGは、コースオープンと同時に先陣を切りコースへと入っていく。気温は15度、路面温度も32度まで上昇する中、丁寧にタイヤへの熱を入れていった片岡選手は計測4周目でその時点の4番手となる1分28秒652をマークすると、続けて1分27秒655、1分27秒366とタイムアップを果たしていった。
しかし、ライバル達は次々とそれを上回るタイムを記録し、4号車の順位はみるみるさがっていく。片岡選手はチェッカーラップの7周目もセクター1で自己ベストを更新し最後までタイムアップを狙っていたが、セクター2以降はタイヤのグリップが落ち、それ以上の更新ができず1分27秒501に終わった。
結果、14番手とQ1通過カットラインの8番手に大きく届かない結果に終わった。Q2に進出できなかったチームは17番手以下をB組と交互に順位を割り振られる為、翌日の決勝スターティンググリッドは予想を下回る27番手となった。
【4/11(日)】決勝
天候:晴れ
コース:ドライ
気温/路面温度 スタート時:19度/36度>中盤:18度/36度>ゴール時19度/33度
岡山国際サーキットは前日に引き続き快晴に恵まれ、気温も上昇しそうな気配に包まれていた。レースペースに期待を賭けハードタイヤをチョイスして巻き返しを望んでいたGOODSMILE RACING & TeamUKYOにとっては、望んだ通りのコンディションだ。
ドライバーアピアランスと2021年シーズンのオープンングセレモニーが行われ、正午前から始まった20分間のウォームアップ走行の頃には路面温度が40℃近くまで上昇した。
決勝前の最後のチェックを行うウォームアップセッションはスタートを担当する片岡選手がドライブした。タイムは、タイヤに熱が入った5周目に記録した1:28.933がその時点でクラス12番手。その後ピットに入って調整をしたのち、時間いっぱいまで周回を重ね、最終的に1’28.684まで更新して15番手で走行を終えた。
12時33分、ピットレーンがオープンされると片岡選手は4号車グッドスマイル 初音ミク AMGをグリッドへと運んでいく。今シーズンもグリッド上にファンは入ることができず、関係者のみだったが、グランドスタンドには多くの個人スポンサー達が応援に駆け付けていた。
13時30分、片岡選手が今シーズン最初の300kmへと挑んでいった。気温は19℃、路面温度33℃のコース上を2周のフォーメーションラップを行い、決勝レースがスタートした。
オープニングラップで必ず競り勝つ鉄板のスタート担当片岡選手は、早速50号車(Arnage AMG GT3)をオーバーテイクしたのを皮切りに、前方にいた87号車(グランシード ランボルギーニ GT3)、7号車(Studie PLUS BMW)も捉えて、24番手でホームストレートへと帰ってきた。2周目には6号車(Team LeMans Audi R8 LMS)もかわしてさらにポジションアップ。
6周目のヘアピンコーナーで前方を走っていた30号車が他車との接触によってコースサイドに停止。これにより今シーズン初のセーフティーカーが導入された。12周目にリスタートすると、ペナルティでドライブスルーを受けたマシンやピット作業を消化したチームなどの影響で13周目に20番手までポジションを上げた。
片岡選手は、ここから1分29秒台のタイムを並べながら、前を行く2台のホンダNSX GT3、34号車(Yogibo NSX GT3)と18号車(UPGARAGE NSX GT3)のオーバーテイクを窺う。
しばらく膠着状態が続いたが、27周目に18号車がピットへと向かう。前がいなくなり燃料も軽くなってきていた4号車グッドスマイル 初音ミク AMGは、ピットイン前のスパートをかけた。
しかし、30周目にアウトラップの360号車(RUNUP RIVAUX GT-R)が1コーナーでコースアウトし、マシンに大きなダメージを受けてストップした。それを確認した各チームは、2度目のSC出動があると判断し、一気にピットへとなだれ込む。
4号車グッドスマイル 初音ミク AMGもこのタイミングでピットロードへと駆け込む。すると岡山国際サーキットの狭いピットロードはGT500、GT300の両クラスが入り乱れての大混雑となり、GOODSMILE RACING & TeamUKYOは作業エリアに斜め止めをする、いわゆる”ダイブストップ”を余儀なくされた。
谷口選手にドライバーを替わり、タイヤ交換、給油を済ませると、メカニック達はマシンをファストレーンに押し戻すが、この時、隣のピットの機材を避けたりGT500クラス車両の通過を待ったりで大幅なタイムロスを喫する。結果、20番手でコースへと復帰したが、この時点でピット作業をまだ済ませていないマシンがラップリーダーとなり、また不運にも4号車のコース復帰位置はその後方になってしまった為、周回遅れとなる可能性が出てしまった。
36周目、SCが外れてレースはリスタートされた。ルーティンピットの未消化組がピットインしたり、ペナルティを受けて脱落するマシンにより、4号車は38周目に19番手、42周目に17番手と、じりじりとポジションを上げていった。谷口選手はその42周目に1分29秒104、続けて1分29秒050、そしてこの日最速の1分28秒973と3周連続で決勝自己ベストタイムを更新する粘りのドライビングを披露し、前方とのギャップを削ることに全力を傾けた。
しかし路面温度が徐々に下がりだしたことも影響し、前方のポジション争いに加わることができない。4号車よりも速いペースでバトルを続けるトップグループに道を譲ることにもなり、最終的にトップから1周遅れの76周回、14位でチェッカーを受ける非常に悔しい結果となってしまった。
続く第2戦の富士スピードウェイでは昨年は行わなかった500kmレースが予定されており久々の耐久レースとなる。事前の富士公式テストでは昨シーズン苦戦の要因となった最高速にも改善が見られただけに、長丁場の混戦に強い谷口、片岡の両選手と4号車グッドスマイル 初音ミク AMGの挽回に期待したい。
■チーム関係者コメント
開幕戦の週末、大失敗でしたね。走り出してすぐに分かったんですが、結果的に持ち込んだタイヤのレンジが外れていたと言うのがすべてで、そこに合わせ込むぐらいしか出来なかった。予選終了後の打ち合わせでチームで知恵を絞ってみても選択肢が増えることはなく、2年ぶりの岡山開催だし、SCが出ることもあろうからそこでうまく動こう程度の案しかありませんでした。でも、結果としてちょっと混んでいるところに入っちゃったな、と。片岡もコース上で何台か仕留めましたし、谷口も後半のペースは良かったので、その意味でもレースペースはある。ただ他より大きく速いわけじゃなく「少し優位かな」程度。もっとレースペースが良くないと予選でのあのロスを取り返すのは難しかったですね。
次の富士ではレース距離が長い分、今回よりは僕らに優位な点が出せるはずと思っています。
クルマの方で差がある部分をタイヤでカバーして補おうとソフトを選択をしたら、思ったより暑くて使えないなと。柔らかい方で保たないなら硬い方でカバーするしかないとハードを履くと、そちらは今度は硬すぎる。両方がレンジから少し外れたような感じになってしまいました。それで予選で沈んだらもう挽回が出来なかった。決勝は全体的にペースは悪くはなかったけど、今回は自分たちでレースを台無しにしてしまったところがあります。全体の反省会でも、申し訳ないけど「テストのときからチョイスも含めて”センスなかったね”って」感じがしています。
次回の富士はレース距離が長い。今の自分たちには、良いところを全て集めて組み合わせて、それでようやくなんとか戦える状態。今回のように自滅することだけはないようにします。
3月初めの岡山での公式テスト時点から、タイヤはハード以外全部グレイニングが出てしまって、選択肢がなかった。それで今回もソフトは持ってきていましたが、やっぱり厳しくてハードしかチョイスできない状態でした。ただハードなんでアベレージ”だけ”はゴールまでいいところを保てるはず、と一縷の望みを持っていましたが、それでも他車より速いわけでもなく”どっこい”ぐらい。抜けないし、それ以前に離されるし、まったく勝負権のない開幕戦になっちゃいました。我々はパワーがないからレスダウンフォースにしなきゃいけなくて、タイヤに荷重を掛けづらい。本来は直線が速くてダウンフォースを出してタイヤを使えれば良いですが、現状は弱者の選択しかできなかった。悔しいけど次に気持ちを切り替えて頑張るしかないですね。
公式練習を走ってみてタイヤが外れていることは分かっていたので、予選で下位に沈むのも目に見えていたんだけど、ただ「ここまで沈むか」っていうぐらいに沈みました。決勝でも目立った速さは出せず、スタート地点が後ろだった分だけレースが苦しかったという。SCも今回は僕たちには悪い方に作用してしまった。正直、何もない週末だったな、と思います。
第2戦の富士はレース距離が長いですが、前回の富士公式テストで最高速が改善されたのは少しだけ良い材料なので、あの雰囲気が継続されていればいいなという希望を持って挑みたいと思います。