TKRI with GOODSMILE RACING RACE REPORT 1
2025 富士チャンピオンレース FCR-VITA / KYOJO VITAクラス Rd.1
会期:2025年03月15日
場所:富士スピードウェイ(静岡県)
エントリー台数:総合30台、クラス10台
4号車 予選:総合20番手、クラス7番手 / 決勝:総合18番手、クラス6番手
225号車 予選:総合4番手、クラス2番手 / 決勝:総合3位、クラス優勝
2024年に初音ミクレーシングプロジェクトが参加していたKYOJO CUPは2025年にフォーミュラカーを使用したレースにフォーマットが変更となり、代わって前年まではレースウィークの土曜日に開催されていたFCR-VITAの中にKYOJOクラスが新設されることになった。TKRI with GOODSMILE RACINGの岡本悠希選手は、このレースを戦う。
チームは2025年シーズンに向けて4号車グッドスマイル 初音ミク VITAを新車に入れ替える準備をしていた為、岡本選手はオフシーズン中にVITA-01を使った練習をすることが出来なかった。しかし、代わりに精力的にカートでの走行練習に励み、日本各地のサーキットを走るなど、経験を積んで新シーズンに備えていた。
そして、2025年の初音ミクレーシングプロジェクトは、メンテナンスガレージが同じで、前年は毎戦同じピットで戦った、KTMSの225号車も初音ミクカラーにラッピングして参戦する事になった。KTMSは、前年に4号車のスポンサーとしてプロジェクトを支えた神戸トヨペットのモータースポーツ部門で、そのアドバイザーは片岡監督が努めている。
その225号車に乗る富下李央菜選手は、18歳で若手注目のドライバーだ。カートレースでの多数の実績が認められて2023年からKYOJO CUPに出場している。そのデビューシーズンの開幕戦ではいきなりポールポジションを獲得する活躍を見せてシリーズ6位、2024年は2度の表彰台獲得でシリーズ5位となり、さらにエキシビジョンレースでは優勝するなど快進撃を続けている選手だ。
2025年の初音ミクレーシングプロジェクトは4号車岡本選手と、225号車富下選手の2人を擁してFCR-VITA/KYOJO VITAを2台体制で戦う。
3月13-14日【練習走行】
スポーツ走行枠で練習する為に、4号車岡本選手と225号車富下選手は木曜日からサーキットに入っていた。
4号車はこの日が新車のシェイクダウンとなった。まずは片岡龍也監督が自ら乗り込み最初のセッションの30分を走行し、続くセッションで岡本選手が乗り込んだ。前年12月の最終戦以来3ヶ月ぶりのVITA-01での走行で、しかも新車ということもあり岡本選手は慎重に走らせた。その後も、慣らし運転のために片岡監督と岡本選手が交互に乗り、午前中のセッションは全て走行した。
この週末は岡山国際サーキットでSUPER GTの公式テストがおこなわれる為、片岡監督が富士スピードウェイに居られるのはこの日だけで、翌日には岡山に向かわねばならなかった。その代わり、片岡監督の教え子でSUPER GTや スーパーフォーミュラ・ライツを走る小林利徠斗選手が、急遽ドライビングアドバイザーとしてチームに加わることになった。午後のセッションでは小林利徠斗選手自身もマシンにも乗りこんで、その特性を確認した。この日のスポーツ走行は全部で10枠あったが、3人で全てのセッション走り切った。
一方、225号車の富下選手は今シーズンの課題に、細かいマシンセッティングを詰めていいくことを課しており、足回りやスタビライザーのセッティングを少しずつ変化させ、その違いを感じられるかを試しながら走行を重ねていた。セッティングの違いを感じるのはまだ難しかったようだが、タイムは1分58秒台と土曜日のレースが楽しみな走りを披露していた。
金曜日は午前中に3回の走行枠があるのみだったが、4号車、225号車ともに前日の走行での課題を克服するべく、小林利徠斗アドバイザーの指導を受けながら合計1時間半を走り切った。前日からタイムに大きな変化はなかったが、走行後にはそれぞれの車載映像を確認し翌日のレースに備えた。
3月15日(土)【予選、決勝】
天気:晴れ
コース:ドライ
午前8時55分、FCR-VITA / KYOJO VITAの20分間の予選が始まった。4号車岡本選手と225号車富下選手はいち早くピットを飛び出してタイムアタックへ向かった。
4号車は3周目に2分01秒361と、この週末で1番のタイムを記録し、まずは総合14番手クラス6番手の位置に着けた。さらに7周目には2分01秒340とわずかにタイムを削ったが、ライバルたちがタイムアップしたため総合22番手クラス8番手まで後退した。8周目には2分00秒880とさらにタイムアップに成功して総合19番手クラス7番手。しかしチェッカー間際にタイムを更新したライバルがいたために、最終的に総合20番手クラス7番手で予選を終えた。
225号車は最初のタイム計測で2分00秒191を記録して総合とクラスともに2番手に着ける。翌周には早くも2分を切る1分59秒527まで詰めるが、総合トップでKYOJO VITAクラスにもエントリーする213号車もタイムアップをしたためにポジションは変わらず。225号車は4周目にも1分59秒483とタイムを縮めたが、ライバルたちのタイムアップで総合5番手クラス3番手へと後退してしまう。
7周目には1分59秒072を記録し総合2番手、クラストップに浮上。しかし213号車が1分58秒864で上回り、この時点で総合4番手クラス2番手に後退。予選終了間際、9周目に1分58秒907と自己ベストを更新するがポジションは上げられなかった。
最終的に、4号車が20番グリッド、225号車はセカンドロー4番グリッドを得て予選を終えた。
午後12時30分、FCR-VITA/KYOJO VITAクラスの開幕戦決勝レースが始まった。このレースは10周もしくは25分間で争われる。
1周のフォーメーションラップを経て、全車がスターティンググリッドに着きグリーンフラッグが振られる。レッドシグナルが順番に点灯していき、レースが始まった。
4号車はスタートでタイミングを合わせられず、後方から77号車と19号車に抜かれ、TGRコーナーには総合22番手で飛び込んだ。しかしコーナーの立ち上がりでスピンした11号車が4号車の眼の前に現れ、一瞬ひやりするが、うまくかわして回避できた。
さらにコカ・コーラコーナーでは別のスピン車両に複数の車両が衝突するマルチクラッシュが発生する。4号車は止まった車両や、飛んできたバンパーなどのパーツを、ランオフエリアに大きく回避してなんとかダメージを受けずに通過することが出来たが、レースは赤旗で中断され、全車スタート時のポジションに戻された。オープニングラップでいきなり7台がいなくなる波乱のレースとなった。この時点で、4号車は総合18番手、クラス6番手になっていた。
車両回収、コース清掃が行われ、残り時間5分となったところでまずはセーフティカー先導でレースが再開する。
岡本選手は、かねてセーフティカー時の課題であった、前方車両とギャップを開けずに走行することをうまくこなし、翌周レースが再開されると、すぐに前方の37号車に仕掛け、TGRコーナーでオーバーテイクに成功する。これで総合17番手に上がったが、翌週のストレートで抜き返されてしまい18番手に戻ってしまった。
ここでスタートから25分が経過し、チェッカーが掲示されレース終了となった。
225号車はスタートで出遅れ、5番手でTGRコーナーに侵入するが3番グリッドからスタートの213号車がオーバーランした為に総合4番手、クラストップに上がった。
続くコカ・コーラコーナーで発生したマルチクラッシュは225号車が通過した後だったので影響はなかったが、レースが赤旗で中断されてしまった。再スタートに備え、全車スタート時のグリッドについたが前にいた1台がピットに入った為に総合3番手になっていた。
セーフティーカーがピットに戻り、残り5分でレースが再開されると、総合2番手の101号車の後ろに着く。しかしオーバーテイクを仕掛けるまでは詰めきれず、2周を走ったところでチェッカーとなった。
多重クラッシュ赤旗中断という波乱のレースで、走行時間が短く不完全燃焼感の残るレースとなってしまったが、4号車も225号車も無事に完走することができた。
そして225号車の富下李央菜選手は総合3位、クラス優勝で開幕戦から表彰台の真ん中に立つ最高の結果となった。また4号車は総合18位クラス6位となり、中盤ポジションでのゴールとなった。この結果を見る限り、初音ミクレーシングプロジェクトとしては最高の開幕戦だったと言える。

レースウィークは新車のシェイクダウンから始まりました。久しぶりのVITA走行で思ったよりも感覚が鈍っており、半年前のようなタイムに戻ってしまっていました。カートで練習をたくさんしてきた自信があったので、余計に焦りがありましたが、結局レースまで全然タイムを出すことが出来ずにレースに挑むことになりました。
予選では前回のレースと同じ2分0秒台まで取り戻すことができましたが、目標としていた59秒にはまだ遠く、満足な結果とはなりませんでした。
決勝では1周目で6台のマシンがリタイヤとなる大クラッシュで赤旗中断となり、再開後のレースは実質2周で終了してしまいました。予選の分を取り戻すつもりで決勝に挑んでいたので、この周回数はかなり不完全燃焼なレースでした。ただ、目の前で起こったクラッシュを2回ともうまく避けて完走することができたのはとてもよかったです。
課題にしていたSC明けも前回までのように置いていかれることなく、着いていけて、1コーナーで前の車両を抜けたのも少し成長かなと思います。

予選はトップの車両にスリップを使われてるだけで、自分は使えずに終わってしまったので、タイムをうまくまとめきれず2番手と悔しい予選となりました。
決勝はスタートに少し失敗して出遅れてしまったのですが、クラッシュはうまく避けることが出来ました。レース再開後は、前のマシンにバトルを仕掛けることが出来ずそのままチェッカーとなってしまい少し不完全燃焼でしたが、総合3位とKYOJOクラス優勝というリザルトはよかったです。