GOODSMILE RACING & TeamUKYO RACE REPORT 4
2021 AUTOBACS SUPER GT Round4 MOTEGI GT 300km RACE
会期: 2021年07月17日~18日
場所: ツインリンクもてぎ(栃木県)
天候: 晴
観客: 公式予選7,500人 : 決勝12,500人
予選: 5位
決勝: 5位
獲得ポイント: 6pt
シリーズ順位: 10位(9pt)
【7/17(土)】公式練習、公式予選
天候:晴れ
コース:ドライ
気温/路面温度 Q1開始時 33℃/45℃、Q2開始33℃/44℃、Q2終了33℃/43℃
幾度目かの新型コロナウイルス(COVID-19)感染症拡大の煽りを受けて延期された第3戦鈴鹿に先んじて、7月17~18日に第4戦ツインリンクもてぎが開催された。
コロナ禍以前のSUPER GTでは肌寒くなりはじめる11月の最終戦として行われていたもてぎでのレースだったが、昨シーズンは9月と11月の2回開催され、今年は7月と11月の2回開催となっている。今回はSUPER GTとして初めての7月開催のもてぎとなった。
このレースは、2008年8月にスタートした初音ミクGTプロジェクトにとって、JAF-GTシリーズ、Total 24 Hours of Spa、SUZUKA 10 HOURSなどのレースを除く、SUPER GTのシリーズ戦で通算100戦目の節目となるレースでもあった。
これを記念して、4号車グッドスマイル 初音ミク AMGのリアウイング下面には”100th Race Celebration/SUPER GT GT300 Class”のメッセージが掲げられ、上面には歴代13名の”レーシングミク”たちが勢揃いする特別デザインが施された。併せてネット上には『参戦100戦記念動画』と銘打つ記念PVが公開され、このレースへの注目を高めていた。
また今回、BoP(バランス・オブ・パフォーマンス)が見直され、性能調整ウェイトがここまで2戦では60kgだったものが、45kgへと軽減された。それでも車両総重量1330kgは依然クラス最重量車なのだが、これまでの2戦で上位入賞を果たし『サクセスウエイト(=SW/旧称ウエイトハンデ(WH)』を70kg超獲得したライバルも出ている中で、4号車のSWはまだ9kgと、総合的に見て重量差が減少していた。谷口信輝選手/片岡龍也選手としては、様々な意味で上位入賞を狙いたいレースだ。
そんなシーズン3戦目に向け、事前のタイヤテストで手応えを得ていたチームは、このサーキットが得意だと公言する『もて岡(「もて」ぎが得意な片「岡」)』こと、片岡選手のドライブで土曜公式練習を開始した。
午前9時20分のコースオープン時点ですでに気温26℃、路面温度31℃と、真夏日を予感させるコンディションの中、序盤から好タイムを記録した片岡選手。ピットでの確認作業を挟んで1分48秒410の自己ベストを記録し、その時点でクラス最上位を確保すると、14周を経たところでいつもより早めに谷口選手へとマシンを託す。
引き継いだ谷口選手は1分50秒台を軸にロングランペースを披露し、1度のピット作業を挟んで30周近い連続周回をこなした。GT300クラス占有走行での予選シミュレーションでは引き続き谷口選手がステアリングを握り1分49秒232を記録した。
結果、序盤に片岡選手が出した1分48秒410がベストタイムとなり2番手でセッションを終了、「あれ、何だかポール(ポジション)が獲れるかも」(谷口)との期待を抱かせる好感触を得ることができた。
そして公式予選Q1。今回も参戦全29台による組み分け方式が採用され、4号車はQ1A組へ。午後2時15分にQ1A組がスタートすると、谷口選手によるドライブでコースイン。気温33℃、路面温度45℃と、灼熱のコンディションの中、計測3周目から2ラップ連続でタイムを更新した4号車は、1分48秒683で4番手と悠々カットラインを突破。まずは順当にQ2進出を決めた。
Q1B組とGT500クラスのQ1に続いて午後3時8分開始のQ2は、ポールポジション獲得を目標に片岡選手が出走。計測2周目には1分48秒265とこの日最速のラップタイムを刻み3番手につけた。さらなるタイムアップを狙って連続してアタックへ入るも、想定外の間の取り方をした別車両にラインをさえぎられ、セクター1で自己ベストを更新することが出来ず、この時点でタイム更新を断念。そのままピットへと帰還した。決勝レースは5番グリッドからのスタートとなった。
【7/18(日)】決勝
天候:晴れ
コース:ドライ
気温/路面温度 スタート前:33度/51度>序盤:34度/46度>中盤:33度/45度>ゴール:34度/49度
この日も朝から真夏の日差しが降り注ぐ酷暑の模様。コロナ禍前のSUPER GTでは人気のイベントだったピットウォークは昨シーズンから感染症対策として中止されているが、代わりにドライバーやレースクイーンの出演こそないものの、ピットレーンから各チームのピットを観覧できる『PIT VIEWING』が朝から開催された。
午前11時35分、SUPER GT100戦目の決勝前ウォームアップ走行を全体6番手で終えた4号車グッドスマイル 初音ミク AMGは、王道の”ミニマムピットイン”を軸に戦略を組み立てていた。全ドライバーに課される全体の3分の1の規定距離を消化した時点で、ピットインしてドライバー交代、コース上のすいた場所に復帰してクリーンな状態でレース後半のラップタイムを稼ぐ作戦をとる。
午後1時10分のフォーメーションラップ開始時には気温33℃、路面温度はなんと51℃と、危険すら感じるコンディションに。
5番グリッドからスタートを切った”スターター”片岡選手の前方には、FIA-GT3車両の中で飛び抜けた強さを誇るNISSAN GT-R NISMO GT3が2台、車両の軽さを武器にタイヤ無交換作戦も選択可能なJAF-GT車両のGR Supra2台が並ぶ。いつも通りスタート序盤でのオーバーテイクを狙うが、もし序盤でポジションを上げられない場合は、ピット作業時間を少しでも短く抑えるため、左側2輪交換を予定していた。
セーフティーカーがはずれレースがスタートすると、チームの悪い予測が的中し序盤でのポジションアップが叶わず、先頭集団は早速こう着状態に陥る。3番手の56号車(リアライズ日産自動車大学校 GT-R)以下、52号車(埼玉トヨペットGB GR Supra GT)、4号車、更にもてぎを得意とする88号車(JLOC ランボルギーニ GT3)までがトレイン状態に。
灼熱の路面に対してタイヤを守るドライビングを意識しつつ、前後の相手へプレッシャーを掛けることも忘れない、ハイレベルなバトルが繰り広げられた。
10周目以降にGT500クラスの先頭集団が追いついてきて以降も、順位変動は起きない。その後ピットウインドウが開くと、このままこう着状態で走るよりすいたスペースでのペースアップを狙い、当初の作戦通り、片岡選手は19周終了時点のほぼミニマムでピットへと飛び込んだ。
左2輪のタイヤ交換を済ませた4号車グッドスマイル 初音ミク AMGは、谷口選手をロスなく19番手でコースへと送り出す。その数周後には序盤バトルをしていた56号車と88号車が接触で戦線離脱をした。
ライバル勢がほぼルーティン作業を終えた28周目には見た目上の5番手へと”復帰”する。ただし、前方には3台のピット未消化組がいたことから、実質的には11号車(GAINER TANAX GT-R)に次ぐ2番手まで順位を上げていた。
昨季の第7戦ではここもてぎで2位表彰台を獲得しているだけに、忘れ物を獲り戻すべく”勝利”だけを狙いたい4号車。「相手はロングランだとタイムが落ちてくるのは見えていた(安藝貴範代表)」というダンロップタイヤ装着の11号車GT-Rを粘り強く追走していた谷口選手だったが、しかしギャップを縮めることができない。
そんな中、37周目に35号車(arto RC F GT3)にトラブルが発生、走行中に車両から火の手が上がり、130Rイン側にマシンを緊急ストップさせた。これにより前戦から導入されたFCY(フルコースイエロー)が掲示され、全車80km/hでの走行に。
この好機を読んだ2号車(muta Racing Lotus MC)がFCY掲示直前にピットインすると、ピット作業を終えて首位のままコースへ戻る事に成功する。これによってFCY解除後の4号車は実質的に3番手へと後退させられてしまった。
更にその2周後には、最終コーナーで31号車(TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT)と接触したGT500車両がストップし再びのFCY。解除後、背後に迫られていた52号車にダウンヒルストレートの並走から90度コーナーのブレーキングで先行を許してしまう。
55周目には同じくGR Supraの244号車(たかのこの湯 GR Supra GT)にもオーバーテイクを許し、最終的にはスタートグリッド順と同じ5位でフィニッシュラインを迎える結果となった。
事前のテスト結果から比較的競争力のあるタイヤ選択ができていたGOODSMILE RACING & TeamUKYOと4号車グッドスマイル 初音ミク AMGだったが、左2輪交換で終盤のレースペースで苦しみ、記念すべき『参戦100戦目の勝利』とまではいかなかった。しかし第2戦富士での8位入賞今季初ポイント獲得に続き、3レース目の第4戦もてぎで5位と、昇り調子でレースウィークを終えることができた。8月21~22日(予定)に開催される第3戦鈴鹿でも、この流れを加速させたい。
■チーム関係者コメント
土曜の公式練習では、事前のテスト結果から、「これぐらいのペースだよね」という想定通りの走り始めでした。すると「あらら? もしかして周りみんな外してる?」って感じで、我々はもしかしたら優位かもしれないと感じました。タイヤはもう少し硬めのコンパウンドもありましたが、そちらはちょっとグリップ感がなくてチョイスできなかったので、消去法的ではあったんですけどね。
作戦的は優勝を狙ってました。ミニマムピットイン、左2本交換で、終わって振り返ってみても、非常に適正な作戦だったと思うし、全員が正確にミッションを遂行したと思います。それだけに「これでダメならしょうがない」という感じです。だから今回はいつもより余計に悔しい。100戦目で気合いも入ってましたし……。ただ、こうしてレース感があって悔しいのは良いことですよね。
土曜の感じから、ロングランのペースは悪くなさそうだと手応えを掴んでいました。もちろん周りのクルマより速いわけじゃないけれど、いつもみたいに「ただ参加してるだけ」な感じじゃない。「ちょっとレースが出来そう」っていう感じでした。
決勝が始まって我慢比べをしたなかで、なんとか「表彰台、できれば優勝を狙えないかな」って期待は持ってたんですけどね。タイヤに摩耗の左右差が出ないうちにすいてるスペースを走りたいのと、セーフティカーが入ったときにレースを台無しにされないために、ミニマムの選択でした。でも2本交換は後半がちょっと厳しくて、前を追い掛けるどころかただただゴールを目指すだけ、みたいになった。もちろん勝ちたいし、5位はすごく残念ですけど「久しぶりにレースできたな」っていう感じですね。
見てのとおり「まだ足りてない」。その「足りてない」ってことが確認できるまでは来たけれど、これまではどれぐらい足りてないかも分からないぐらい遠かったから、そういう意味じゃ前向きです。一瞬、期待する内容だっただけに、この結果は残念な気分ではありますけどね。100戦目っていう記念すべき大会で、少しは応援してる人に力の入る内容のレースだったことだけは幸いかな、と思います。ただこれも、期待させた分、残念な思いもさせたかなと思うので「この先も苦しいなぁ」っていう確認は取れました。
次の鈴鹿もパワーサーキットなので、レースを戦うことを意識していくと、予選でのパフォーマンスが「どれくらい? 」っていう点が重要。予選からのパフォーマンスも含めて、まだ見えないですね。