GOODSMILE RACING & TeamUKYO RACE REPORT 1
2022 AUTOBACS SUPER GT Round1 OKAYAMA GT 300km RACE
会期:2022年04月16日~17日
場所:岡山国際サーキット(岡山県)
観客:予選6,600人 : 決勝12,500人
予選:14位
決勝:7位
獲得ポイント:4Pt
シリーズ順位:7位(4Pt)
2022年のSUPER GTは例年より遅い4月の3週目に岡山国際サーキットで開幕のときを迎えた。GOODSMILE RACING & TeamUKYOは、ともにGT300クラス3冠を誇る谷口信輝選手/片岡龍也選手のゴールデンペアを継続し、マシンは昨年までと同じMercedes-AMG GT3ながら新車を投入して準備を進めてきた。
これも例年通りだが、開幕前に公式テストやタイヤメーカーテストなど多くのテストセッションに参加して精力的にマイレージを稼ぎ、マシンのセッティング、タイヤの開発を進めてきた。
車種間のパフォーマンスを揃える事を目的とするBoP(バランス・オブ・パフォーマンス/性能調整)は昨年までと同じくMercedes-AMG GT3には厳しい状況が続く。
まず車重については、1285kgの車両重量に対して+45kgのBoP重量が課される。さらにコース幅、エスケープゾーンともに他コースに比べて狭い岡山では、安全性を考慮した特別BoPが採用され、+39kgのウエイトが加わって合計車重は1369kgとGT300クラストップクラスの重量。しかし苦戦した昨シーズン開幕戦に比べるとこれでも5kgの軽減だ。
エンジンには吸気量を制限するエアリストリクターで出力を調整するが、自然吸気(NA)エンジン車のなかで最も細い34.5mm径のリストリクターが昨年に続いて課されることになった。
【4月16日(土)】公式練習、公式予選
天候:晴
コース:ドライ
気温/路面温度
GT300 Q1開始時17℃/21℃
GT300 Q2開始時16℃/27℃
終了 17℃/29℃
16日(土)午前9時20分から始まった今シーズン最初の公式セッションは、快晴の下、気温13度、路面温度18度というコンディションでスタートした。強風が吹き荒ぶなか走り出しを担当した片岡選手は、10分ほどピット内で待機して気温/路温の上昇や路面状態が改善するのを待ち、9時30分を回ったところで参戦27台中24台目でコースへと向かっていった。
タイヤのウォームアップを終え、計測6周目に1分26秒248を出し7番手となると、セッティングの微調整を加えるためピットへと戻る。その後もショートランを繰り返し、セッティングを調整していき、15周を終えたところで谷口選手へとバトンタッチした。
今シーズンはデザインイメージを一新し、鮮やかな『ライムグリーン&ホワイト』となった4号車グッドスマイル 初音ミク AMGは、ここから黙々とロングランに徹して1分28秒台前半のタイムを並べる。谷口選手は自身13周目に1分27秒636の自己ベストをマークしつつ17周をこなした。
公式練習の最後の10分間に設定されたクラス占有走行枠では片岡選手が再びシートを引き継ぎ、予選シミュレーションでアタックを行うが、1分26秒372が最速で自己ベスト更新はならず。公式練習序盤に記録した1分26秒248がベストタイムとなり、全体の17番手でセッションを終えた。
その後、FCY(フルコースイエロー)のテストを挟み、2019年以来ひさびさにピットウォークが開催された。サイン会やサンプリングなどはまだ禁止されていたが、ファンとドライバーが交流し、サーキットに和やかな空気が広がる。
午後2時、好天により気温15度、路温33度とチームの事前の想定よりやや高いコンディションの中、予選開始。GT300クラスのQ1は、開幕戦出場の全27台が前年度ランキング順にA組とB組に振り分けられ、それぞれ10分間で争われる。GSRはB組での出走となった。
午後2時18分、Q1B組スタート。片岡選手はすぐにピットを後にし、タイヤの熱入れを開始する。しかしその直後、アウトラップの5号車(マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号)がスピンし、コンクリートウォールにヒットするアクシデントが発生、この日最初の赤旗が掲示されセッション中断となってしまう。
マシン回収が完了し、午後2時33分セッション再開。残り8分での仕切り直しとなり、片岡選手はハイペースで熱入れを進め、計測6周目にアタックして1分25秒760をマーク。全体6番手とQ1通過カットライン8番手をクリアして、Q2担当の谷口選手に繋いだ。
午後3時6分、引き続き路面温度が30度を超えるコンディションのなか、Q2スタート。谷口選手は計測4周目からアタックし、1分25秒755を記録すると続く計測5周目に1分25秒607として、計時時点で13番手のタイムを記録する。さらにタイムアップを狙うものの、チェッカーラップでは1分25秒797と既にタイヤのドロップダウンが始まっており、タイム更新はならず。最終的に14番グリッドから今シーズン最初の決勝レースに挑むこととなった。
【4月17日(日)】決勝
決勝 天候:晴
コース:ドライ
気温/路面温度
スタート前(13:55):23℃/32℃
中盤(15:00):22℃/33℃
終盤(15:55):22℃/30℃
ゴール時(16:05):22℃/28℃
夜中に吹き荒れていた風は朝までに収まり、前日に引き続き快晴に恵まれた。ピットウォークや、岡山では初開催となる自衛隊F-2戦闘機のウエルカムフライトなどのアトラクションが実施された後、12時40分ウォームアップセッション開始、各車レース前の最終確認を済ませる。
午後2時決勝レーススタート。気温23度、路面温度も33度まで上昇し、結果として持ち込んだタイヤには少々厳しいコンディションとなってしまった。
2周のフォーメーションラップの後、今シーズン初めての決勝レースがスタートした。”鉄板のスタート担当”片岡選手は今回もスタート直後にポジションアップを狙っていたが、「スタートの隊列が整わないままスタートになってしまい、ギリギリ隊列に追いついた”だけ”で」1コーナーに向かうことになり、オープニングラップでの順位上昇はならず。その後もジリジリとした団子状態が続いていく。
5周目、6号車(Team LeMans Audi R8 LMS)をパスして13番手。片岡選手は、その後も「燃費を少しでも抑えられれば」と意識しつつも、22周目には今シーズンデビューの20号車(シェイドレーシング GR86 GT)もパスして12番手へと浮上する。
前後のライバルと接近状態が続く中、膠着を脱する為、チームはレース距離の1/3を超えた26周目に片岡選手をピットへ呼び戻し、レースの残り2/3を谷口選手に託した。
谷口選手は23番手でコースへ復帰すると、1分28~29秒台の安定したレースペースでラップを刻んでいく。32周目にアウトラップの96号車(K-tunes RC F GT3)をオーバーテイクをするが、35周目に抜き返される。さらに52号車とバトルになり、一度前には出られるが、すぐに抜き返しポジションをキープ。ライバル勢がひと通りルーティンピット作業を終えた45周時点で10番手、続く周回では9番手へとポジションを上げる。
55周目、7号車(Studie BMW M4)と5番手争いを繰り広げていた88号車(Weibo Primez ランボルギーニ GT3)がダブルヘアピンでスピン、4号車は一時8番手に浮上するも、ストレート速度の差で6号車に先行され再び9番手。
終盤、レースが大きく動き、ここからはサバイバルレースの様相を呈する。
60周目、2台前方を走っていた96号車がヘアピンのブレーキングで止まりきれずGT500車両に追突。谷口選手はこのアクシデントのすぐ後ろを走行していたが、混乱を冷静に見極めてイン側からクリアした。
しかし96号車はこの時のダメージにより翌周のホームストレートでエンジンフードが開いてしまい、視界を失って1コーナーイン側のコンクリートウォールに激突する。今シーズン初のFCY導入となった。
64周目にレースリスタート後、谷口選手が抑え続けていた55号車(ARTA NSX GT3)に先行を許すが、70周目、再びヘアピンでその55号車が7号車に追突するアクシデント発生。谷口選手はこの時もクラッシュの直後を走っていたが、冷静に見極めて難を逃れる。
その後もGT500や前後のバトルに揉まれ「とにかくガチガチ(接触を)もらいながら、このサバイバルを生き残った」谷口選手は、10号車(TANAX GAINER GT-R)を追走しての7位チェッカー。混戦に強いGSRの持ち味を活かし、今シーズン初戦でポイントを持ち帰る結果となった。
続く第2戦、恒例ゴールデンウイーク開催となる富士スピードウェイでは、新規軸の450kmレースが予定されている。車両側のBoPも例年どおりエンジン側で一部緩和措置があることから、長丁場の混戦に強い谷口、片岡の両選手と4号車グッドスマイル 初音ミク AMGが、ふたたび力強いレースを披露してくれるはずだ。
■チーム関係者コメント
終盤はよくぶつからなかったですね~。あ、当たってはいたのかな(笑)。でもよく周りの混乱を耐えしのいで、谷口が最後まで走らせてくれたと思います。このオフは新車のマイレージも(オーバーホールが設定されている距離の)もう4分の1ぐらい使ったんじゃないかというぐらい、たっぷり走り込んでましたが、従来からのタイヤの課題は徐々に解決してるようには見えますし、あとは今回の様子でも明らかなように、(ライバルに対して)直線の遅さが際立ってますよね。富士はその点でBoPが比較的緩和され、周りの調整されている部分に対して本当にどうか、ですね。年間を通しての戦略で言えば、2回開催される富士でポイントを獲ることが大事だと思うので、より慎重に当たろうと思っています。
オフテストで雨が降ったりして相対的に見えにくくなったり隠れていたものが、やっぱりフタを開けると見えるようになる部分もある。開幕戦で今年の構図がなんとなく見えてきて、改めて戦い方を考えなきゃいけないなって。レース後半は、悪いけど見てる方は楽しかったよね。ストレートでアウディが右から『スーッ』て行ったりするとヒヤヒヤしたり、セクタータイムを見てどっちが先にランプが付くかで「行った」とか「行かれた」とか。こちらは楽しんでるけど、乗ってる方は大変だろうな、って(笑)。富士は数少ないチャンスで、大変だけどそこで頑張ってる姿を見せて、ファンにも応援してもらいながら、そして僕らも楽しみながら作戦を考えたり。復活の日を目指して、楽しんでやるしかないですね。
片岡が乗っている間は、周りも同じようなペースだからあまり動きもなく。僕に変わって以降、まぁ~荒れましたね(笑)。ピットアウト直後は65号車(LEON PYRAMID AMG)が目の前にいたけれど、後続がピットアウトしてみんな目の前に出てくるから、65号車は上手く逃げる、こちらは全部引っ掛かる……って感じで、そこにすごく『天国と地獄』があった。今回も土曜からまったく表彰台を狙えそうな感じではなかったから、目標は8位。とにかくポイントを獲るって決めていたので、結果7位っていうのはチームの目標がこなせて僕としては良かったなと。50周以上のスティントで、最終ラップでも10号車に引っ掛からなければ1分28秒台が出たはず。その点で、タレてるなりにタイヤは頑張ってましたね。
今回は14番手からスタートして、いつもどおり最初の周で『カマそう』としたら、隊列ができないまま1コーナーに向かうことになり、結局は何もカマせず。その後は周囲のタイヤも温まってたので、コースアウトしたクルマを抜いた以外はひたすら人の後ろに付くだけ。遅くもないけど、決め手もないままとにかく我慢、ひたすら我慢……。僕のスティントに関してはなんのドラマもなかったです。今日の結果が『なんとなく今年を占うなぁ』と思いますし、やはりラクではなさそうですよね。次の第2戦は富士専用のBoPになるので、シーズンの中で1番マシかもしれない。有利ではないと思いますが、ここ(岡山)まで不利ではない、という点で、今シーズンはそこで2戦ありますし『さあどうだ』ってとこですね。