SUPER GT 第7戦 チャーン国際サーキット(タイ)
10月4日 予選6位
10月5日 決勝3位
初開催のタイで3位表彰台! ランキングトップで最終戦に!
■10月3日(金) 練習走行
SUPER GT唯一の海外戦は、昨年までのマレーシア・セパンに代わり、今年からタイ・ブリラムのチャーン国際サーキットで開催されることになった。サーキットは完成したばかりなので地元チーム以外は事前走行をしておらず、日本から参加するチームはすべてぶっつけ本番となった。もちろん、GOODSMILE RACING & TeamUKYOも例外ではない。
東京からタイのスワンナプーム空港まで約6時間、空港からサーキットのあるブリラムまで自動車で約6時間という長旅を経て、チャーン国際サーキットに到着する。10月とはいえ、日本の真夏日のような気温はさすがタイ。気温は常に30度以上、路面温度は最高で60度近くまでに上がったという。
タイ戦では金曜日の練習走行が復活し、メカニックたちは船の長旅で輸送されてきたマシンに不具合がないかをチェックし、ドライバーは初めてのコースを覚えるためにコースウォークに参加した。その後、午後から練習走行に入り、谷口選手がベストタイム「1’35.550」を記録し13位、片岡選手はロングスティントのテストをひたすら繰り返し、翌日の予選に備えた。
■10月4日(土) 予選は7位→6位に昇格
予選日も気温33度、路面温度44度とマシンにもタイヤにもドライバーにとってもタフな環境になった。予選1回目は谷口選手がアタックし、アウトラップでいきなりコースオフしたものの「1‘35.669」を刻んで、最終的に12位で通過した。
トップタイムは55号車(ARTA CR-Z GT)が出した「1’34.807」で、3位以下は35秒台に15台が入るという大混戦。
予選2回目は片岡選手がアタック。序盤、なかなかクリアが取れずにタイムが上がらなかったものの、「1‘34.611」を記録して7位で終了。その後の車検で2番手タイムを出していた61号車(SUBARU BRZ R&D SPORT)が失格となったことで順位が繰り上がり、決勝レースは6番グリッドからのスタートとなった。
■10月5日(日) 灼熱の決勝レース!序盤は苦しい展開に
スタートドライバーを担当したのは片岡選手。1周目で2台に一気にパスされて8位にダウンするも、4周目には抜き返して6位を取り戻した。直後、同じZ4の60号車(TWS LM corsa BMW Z4)が背後に迫り、一気にミクZ4を抜いていく。しかし、片岡選手は堅実に走り、順位を落としつつあった0号車(MUGEN CR-Z GT)を抜いて再び6位に。この時点で、4位が7号車(Studie BMW Z4)、5位が60号車、6位が4号車と、4~6位がすべてBMW Z4という状況になる。
その後、4号車は順位を保ったまま28周目にピットイン。タイヤをすべて交換し、ドライバーも谷口選手へと交代。アウトラップで11位まで順位を落としたものの、先にピットインしていた11号車の前に出ることに成功。徐々に順位を取り戻していき、レースの2/3が終了した41周目には6位と、元の位置まで戻ってきていた。
42周目には前を走っていた0号車を抜いて5位にあがり、さらにトラブルで緊急ピットインした地元チームの99号車(i MOBILE AAS)も抜いて4位までポジションを上昇させる。ここからレースは膠着する。この時点で2位7号車、3位60号車、4位4号車と、再びBMW Z4のトレインが形成される。
■初開催のサーキットで3位表彰台に!
残り10周を切ったあたりから、前を走る60号車のブレーキが苦しくなりペースが落ちる。5秒近くあったタイム差も、残り6周でコンマ5秒差までに詰め、さらに谷口選手は34秒台を叩き出してそのまま一気に60号車をパスし、3位表彰台圏内に上がった。残念ながら1~2位にはかなりの差がついていたため、追いつくことはできなかったが、2戦目以来となるポディウムを獲得できた。
この結果を受けてシーズンランキングは67ポイントで1位を堅守。2位以下に9ポイント差をつけて最終戦に挑むことになった。なお、現時点でチャンピオンシップの権利を残しているのは4号車以外に11号車(58ポイント)、7号車(58ポイント)の3台のみ。やはり最後に立ちはだかるのは2011年からのライバルであるGAINER、そして今年から袂を分かったStudieというドラマチックな展開になった。
9ポイント差が圧倒的有利なことには変わらないが、最終戦もてぎは毎年何が起きるかわからないだけに、兜の緒を締め直してチームは悲願の王座奪還に挑む。
レース中は常に7号車と11号車の位置を気にしながら戦って、ポイントを意識しながら戦うレースでしたね。前半は片岡選手が順位を落とさずになんとか戻ってきてくれたんですが、後半、谷口選手に変わった直後は500との絡みが多くてなかなかペースが上げられなかった。しかし、その後はヨルグ選手のファステストを塗り替えるようなペースで走ってくれて、60号車を最終的に抜いたときにはグッときましたね。BMWの2位、3位フィニッシュはとても良い結果だと思います。4位もBMWですしね。本当に今回は3位になれてよかったです。最終戦をポイントリーダーとして迎えることになりましたが、どうなるのか、とても楽しみですね。
今回の結果は最善最良のカタチで終わったんじゃないかなと。ある意味想定内でしたね。BMWのワンツーになるんじゃないかと予想はしていたのですが、まさかの3号車が来て。ただ、7号車が優勝していたら、最終戦はかなり厳しかったでしょうね。今回は7号車が2位で11号車も8位(実質7位)だったおかげで、最終戦を9ポイント差で迎えることができて、かなりラクになったと思います。あと、やっぱり谷口選手が60号車を抜いてくれたのも大きいです。相手もブレーキがきつくなってたようですけど、こちらは56kgも重りを積んでいるわけで、決してイージーに抜けたわけじゃなかった。その意味でも3位の大きさを改めて実感しています。チャンピオンシップも佳境で、胃が痛くなりますけど、気を引き締めて最終戦を迎えたいですね。
今回のレースは初開催のサーキットだったので、対応能力とか、コースコンディションを見極められるかどうかとか、トラブルを察知して回避する能力だとか、ドライバーだけでなくチーム全体のチーム力みたいな部分が試されたんじゃないでしょうか。3位でフィニッシュできた要因としては、これらのことがかなり大きいと思います。練習走行などを見ていると、ある程度のタイムはみんなコンスタントに出せて、その中でもひとつ抜けて速いクルマが4、5台いてという感じでしたよね。速いのは当たり前で、その中で生き残りながら、タイミング良くピットに入るという作戦がハマったことが、今回の結果に結びついているんだと思います。
予選6番手から始まって、片岡選手がGT500のマシンにぶつけられそうになりながらも、GT300のライバルとのバトルをなんとか生き残ってくれて僕にバトンを渡してくれました。ピットを出ると50号車と60号車が前にいて、それをなんとか抜いてくれとチームからのオーダーもあり、無事に抜くことができましたけど、結果的に1位と2位は別格に速くてちょっと追いつけませんでしたね。61号車と11号車が予選で沈んでしまったため、貯金を持って最終戦に臨めるのは大きいです。もちろん、まだまだ油断はできません。7号車か11号車が最終戦で優勝したら、我々は3位を取らないといけないですしね。でも最後は勝ってチャンピオンを決めたいですね。
第1スティントは無理せず、前にくっついていけば、第2スティントで順位を上げられるだろうと思っていました。そこそこのペースを維持しながら、500との接触を避けたときに3秒くらいロスした以外は、ほぼほぼ仕事を完了できたかなと。クルマのフィーリングは良かったけど、どういうレース展開になるのか若干運頼みのところもありましたが、谷口選手も素晴らしい走りを見せてくれて、今回自分たちが持っているパフォーマンスを考えたら3位はベストリザルトだし、2位とのポイント差を広げる目的で来ているので、この順位は十分価値があると思います。