SUPER GT 第8戦 ツインリンクもてぎ(栃木)
11月15日 予選3位
11月16日 決勝3位
最終戦もてぎは3位! 悲願の王座奪還達成!
■11月15日(土) 悪循環を断ち切った予選
2位以下に9ポイント差を付け、初めてポイントリーダーとして最終戦に臨んだ「GOODSMILE RACING&TeamUKYO」。前戦タイに引き続き、金曜日に練習走行が設定され、さらに予選日の朝にも練習走行があり、どのチームもトラブルシューティングに余念がない。「グッドスマイル 初音ミク Z4」(ミクZ4)も慎重に周回を重ねてセッティングを試していく。しかし、なかなかタイヤとマッチしないのかタイムが伸びず、10位以下という順位がしばらく続いた。その後、谷口選手がアタック用のタイヤを履き一発タイムアタックを敢行。「1‘49.226」を記録し、8位で予選日朝の練習走行を終えた。
練習走行でライバルの11号車(GAINER DIXEL SLS)が48秒台で1位になっており、同じくチャンピオンシップを争う7号車(Studie BMW Z4)は「1‘49.207」で7位と、BMW勢が沈んでしまう。「9ポイント差で有利なはずなのに、むしろこっちが追う側の気分」と谷口選手。予選までにこの悪い流れを断ち切るには、思い切ったセット変更しかないと、チームは協議の末、セッティングをガラっと変えて予選に挑む。
このセットが功を奏し、片岡選手が担当した予選1回目は「1‘48.461」を出して3位で通過。なお、1位と2位は11号車、10号車(GAINER Rn-SPORTS SLS)だった。そして谷口選手がステアリングを託された予選2回目。「1’48.500」を叩きだし、2位をキープしていたものの、残り数分というタイミングで31号車(OGT Panasonic PRIUS)が47秒台を出し、2位に割って入った。
結果的にミクZ4は3位で3番グリッドを確保したが、1位の11号車は「1’47.796」、2位の31号車は「1’47.977」と、決勝レースの厳しさを予感させた。
■11月16日(日) 追うよりも追われた決勝レース
気温は低いが、快晴で迎えた決勝日。午前中のフリー走行でも快調で、ミクZ4は「1’49.839」で3位のポジションにいた。1位は21号車(Audi R8 LMS ultra)、2位はラブライブポルシェこと9号車(国立音ノ木坂学院NACポルシェ with DR)だった。
日没が早くなっているため、レースはいつもより1時間前倒しの13時スタート。最終戦のレース距離は250kmと短く、GT300の場合、周回数は50周前後となるため、ほぼスプリントレースといえる。
スタートドライバーは片岡選手。レーススタート直後、オープニングラップで前を走る31号車を抜き去り、2位に浮上する。だが、ポールから逃げる11号車は1周につき1秒近い差をつけて独走態勢を築く。もはや手に負えない速さの11号車を追いかけるよりも、3位以上を狙う作戦になった。だが、一度は抜いた31号車のペースもかなり速く、コンマ1秒差の戦いが10周以上にわたって繰り広げられた。レースが膠着したと判断した31号車は、バトルで抜くよりもピットインを選択。タイヤ無交換で再びコースに戻った。職人・片岡選手だからこそ10周以上抑えられたと言える。
31号車とのバトルはなくなったが、背後から圧倒的なスピードで迫る2台があった。1台は10号車、もう1台は21号車だ。2台体制の強みを活かして、11号車をアシストすべくミクZ4に襲いかかる10号車。コーナリングで引き離し、直線で追いつかれる状態が続き、なんとか粘ってはいたものの、ついに23周目にオーバーテイクを許してしまう。次に、朝から好調だった21号車もミクZ4に急接近、26周目に抜かれてしまい4位にダウン。王座奪還に黄色信号が灯る。
■粘りの走りで3位を死守! 王座奪還達成!
GSRがチャンピオンになるには、11号車が1位を走っているため、3位以上でゴールしなくてはいけない。このままでは、11号車にチャンピオンを持って行かれてしまう。当初、片岡選手が30周近く引っ張る予定だったが、急遽作戦変更。27周目にピットインで、タイヤをすべて交換し、谷口選手がステアリングを握り、コースに戻った。
その後、1位を走っていた21号車がピットイン。タイヤを2本のみ交換してピットタイムを短縮し、ミクZ4の前に出た。しかし、アウトラップの21号車を谷口選手はあっさりパスし、一度は8位まで落ちた順位を34周目には3位まで戻していた。この位置を死守すればドライバーズチャンピオンである。
残り15周を切ったあたりから、再び21号車が追いついてくる。ほぼ同じペースで走っているため、1秒くらいの差で離れもしないし縮まりもしない、という状況が続く。途中でGT500の混戦をうまく利用して差を広げる谷口選手。だが、21号車もジリジリと差を縮めてくる。だが、ミクZ4をオーバーテイクできる決定的なポイントがなく、一進一退のままファイナルラップへ。10秒以上の差があった2位を走る31号車には追いつけなかったが、21号車を最後まで抑えてミクZ4は3位でチェッカーを受けた。
惜しくもチームタイトルは11号車に譲ったものの、2014年シーズンのドライバーズチャンピオンを獲得した。さらに表彰式ではベストパフォーマンス賞、ベストメカニック賞も受賞と、GOODSMILE RACING&TeamUKYOにとって最高の締めくくりになった。
とにかく練習走行はダメで、予選をギャンブルで戦って、気を抜ける場面がまったくありませんでした。精神的な疲れが体を覆ってましたが、チャンピオンになれたので吹っ飛びました。
決勝レースでは、オープニングラップで片岡選手が31号車を抜いたり、後半、谷口選手が21号車を抜いてからずっと抑えたりと、見せ場はありましたね。レース自体は11号車にはかないませんでしたが、なんとか3位で王座奪還できました。みなさんの応援に感謝します!
苦しくて苦しくて、ハラハラドキドキの最終戦でしたね。金曜日の練習走行で(セッティングの)狙った方向性がダメでした。それが土曜日の朝まで続いたので、予選はソフトめのタイヤにしたら3位までいけました。決勝朝のフリー走行でも3位で一見するといい位置だけど、朝あのタイムということは午後からダメになるということです。最初は35周くらい片岡選手で引っ張りたかったけど、スタートしてすぐにやっぱりダメだとわかった。片岡選手も谷口選手も薄氷を踏むような状況の中で順位を守ってくれたので、なんとかチャンピオンになれましたね。今年は本当に浮き沈みが激しかったけど、苦しいときに踏ん張ってポイントを重ねられたことが、この結果に繋がったんだと思います。もちろん、どんなときでも支えてくれるファンの声援にも勇気づけられました。応援ありがとうございました。
今回のレースはもともとターゲットではなかったチームが上位に出てきたりで、最後までやきもきさせられました。距離が短かったこともあって作戦もシンプルでしたが、なかなか周りも速くて、最後はブレーキもタイヤもボロボロになりながら谷口選手がなんとか21号車から逃げ切ってくれて、見事3位でチャンピオンを獲ってくれました。欲を言えばチームタイトルも獲りたかったですね。
2位以下に9ポイントの差をつけていましたが、むしろ我々が追いかけなきゃいけない、そんなレースでした。11号車が速すぎたので、優勝はあそこだろうと予想して、我々は最低でも3位以上にならなきゃいけなかったんですが、金曜日から不調が続いて、これはまずいなと。予選でようやく帳尻があってきたので、決勝レースでうまくいくかと思いきや、前に追いつけ追い越せというよりも、ひたすら後ろを気にするレース展開になってしまいました。なんとか3位をキープできて、ギリギリでしたがチャンピオンになれて、とてもうれしいです! 1年間、この日のために戦ってきたので。
2011年のときはクルマが速かったので、勝って当然みたいなところがありましたけど、今年はほんとに限界ギリギリで、運がちょっとだけライバルに勝ったかな、という感じですね。とにかくホッとしています。
もう嬉しい以外なにもありません! 決勝レースは、気温が予想より上がってしまったことで、選択したタイヤが苦しくなることはわかっていたんですが、それでもドライバー、メカニック、チーム全体が一丸となって、目標だった3位を獲得できました。今日よりも金曜日から土曜日の午前中までのほうが厳しかったです。一度失ってしまった流れを再び作って取り戻せた、予選で3位になれたのが最終戦のターニングポイントだったと思います。
2012年にこのチームに入ってから、決して悪いわけではないけれどアドバンテージがあるとも思えなかったBMW Z4 GT3で、タフなシーズンが続きましたが、いろんなものの準備が整ったからこそ、今回こうしてチャンピオンになれたのだと思います。