2015 AUTOBACS SUPER GT Round1 OKAYAMA GT 300km RACE
4月4日 予選7位
4月5日 決勝5位
難しいコンディションだった開幕戦岡山は5位!
■4月4日(土) 大激戦の末、7位を獲得した予選
金曜日は大雨だった岡山国際サーキット。予選が行なわれる土曜日は曇天となり、昼前にはコースもドライに変わっていた。午後からの予選は今年もQ1(予選1回目)とQ2(予選2回目)の2段階で振り落とされるノックアウト方式が採用される。
Q1は片岡選手がアタック。「1’27.580」のベストタイムで上位に位置していたものの、時間が進むにつれてまわりのライバルもスピードを見せてきた。最終的に10番手のタイムとなり、無事にQ1を通過した(13番手以下は足切り)。
Q2を担当したのは谷口選手。コースインして数ラップでベストタイム「1’27.288」を叩き出して暫定1位にいたものの、26秒台を記録するライバルもおり、また27秒台に10台以上という大激戦の中、なんとか7位で踏みとどまった。
この結果を受けて、決勝レースは7番グリッドからのスタートになる。
■4月5日(日) 雨に翻弄された決勝レース
決勝日は朝から雨が降っていたものの、グリッドウォーク前には上がり、スタートはスリックで行くのかインターミディエイト(浅溝)のタイヤで行くのか、難しい判断を強いられた。雨は上がっていたが路面は濡れており、さらにレース開始後に雨が降るという情報もあり、ウォームアップ走行ではスリックを履いていたが、さすがに勝負できないと判断したチームはスタート直前でインターミディエイトを選んだ。スリックで勝負を賭けたライバルたちもいたが、このことがレースの明暗をわけることになった。
スタートドライバーは片岡選手。ローリングスタートの1周目から勝負を仕掛ける。7番手からスタートし、1周目が終わる頃には4位にまでジャンプアップしていた。なお、スリックを履いていたライバルはここですべて脱落した。
その後順調に周回を重ねるものの、予選から速さを見せていた21号車(Audi R8 LMS ultra)が背後に迫っており9周目にはついに抜かれてしまった。さらに10周目にはもう1台のアウディ86号車(Racing Tech Audi R8)にも抜かれ、6位にダウンしてしまう。
圧倒的なスピードで走る上位陣に少しでも追いつくべく、片岡選手も懸命にタイムを削るが、ハイブリッド勢とアウディ勢はどんどん差を広げていく。そんな中、徐々にタイムを落としてきたのが10号車(GAINER TANAX GT-R)。目の前まで来た10号車をロックオンしたものの、その隙を突いて後ろから77号車(KSF Direction Ferrari 458)がグッドスマイル 初音ミク SLSに襲いかかる。
開幕前のテストから速さを見せていた77号車は、決勝レースでもその速さは健在。惜しくも25周目に抜かれてしまい7位にダウン。スターティンググリッドの位置まで戻ってしまった。7位を守ったまま片岡選手は走り続け、途中、10号車のピットインもあり6位にアップ。そして39周目にピットインをする。
■刻一刻と変わる路面状況に臨機応変に対応し、5位ゴール
ピットインまでにはさまざまな思惑が飛び交っていた。ピットインの直前まで雨は止んでおり、路面も乾きつつあったのだが、ピットインを予定しているタイミングで再び雨が降るという情報もあった。ピットイン直前まではチームはスリックに望みを賭けており、ピットロードに用意されていたタイヤもスリックだったのだが、ギリギリまで片岡選手に引っ張ってもらい、スリック、インターミディエイト、レインと3種類のタイヤを前に、改めてタイヤのチョイスを議論した。この結果、終盤は雨が降ると予測し、レインタイヤ(深溝)を決断。谷口選手にすべてを託したのだった。
アウトラップは7位と順位をほぼ下げることなく復帰。44周目には77号車を抜き返して6位に浮上した。1~4位までとはかなり差が開いてしまったが、ミクSLSより先にピットインをしていた10号車が再び順位を落としていた。さらにこのタイミングで雨量が増えてくる。65周目に10号車を抜いて5位にアップ。4位を走る86号車との差はいつの間にか6秒差まで縮んでいた。
谷口選手はタイヤを労りつつスパートをかける。この時点で残り10周程度。表彰台には乗れなくてもひとつでも順位を上げようと、86号車に襲いかかる。6秒あった差が、72周目には1.5秒に、73周目にはなんと0.5秒とテールトゥーノーズになっていた。しかし、74周目に周回遅れのマシンに引っかかってしまい、また3秒差まで戻されてしまう。残り2周で1.5秒差まで詰め、ファイナルラップには抜く寸前までいったのだが、0.2秒の僅差で抜くことは叶わずチェッカーとなった。
GSRとしては2012年から続いた岡山での連続表彰台の記録は途切れてしまったが、路面状況が刻一刻と変わる非常に難しいコンディションの中、無事に5位でゴールできたことは幸先のいいスタートだったと言える。この結果から6ポイントを獲得でき、シーズンランキングも5位となった。
次戦は勝率の高い富士スピードウェイにて5月2~3日に開催される。ここで大量のポイントを獲得して、シーズン序盤に弾みをつけたい。
■関係者コメント
開幕戦としてはまわりの状況がわからない中で、よく戦ったかと思います。ピットインのときのタイヤ交換ですが、かなりチーム内でも議論が起こりました。これから晴れていくだろうという人、いや雨がさらに降るだろうという人。タイヤを全種類並べて、片岡選手にはもうちょっと周回数を伸ばしてもらって、話し合いました。その結果、レインでいくことになったのですが結果的には正解でしたね。あれで外してしまうと、もう1回ピットインせねばならず、40秒はロスしてしまいますから。
今回のレースを通じて、ほかのチームの様子も見えてきたので、これからは作戦も立てやすくなるのではないでしょうか。
5位という順位だけ見ると惜しかったかもしれないけど、みんなが非常に努力したからこの順位まで上がれたんだと思います。とくに最後の86号車は抜こうと思えば抜けたかもしれないけど、シーズンを通して考えた場合、あそこでリスクを犯して抜くのは恐かったよね。そういう意味でもベストの5位であることは間違いないでしょう。
次の富士は、SLSのセッティングの方向性も見えてきたし、富士ならストレートスピードが速いから有利だし、今回勝ったマシンもウェイトを積んで苦しくなるから勝てるかもしれないね。取りこぼしをしないのは今シーズンはとくに重要です。それくらい競争が激化していますから。
今日のレースは最後までハラハラさせられる展開でした。アウディの前にいけなかったのは残念ですけど、ベストな結果ではないかと思います。トラクションがかかるクルマとか、履いているタイヤとか、明らかに速い要因があるところが上位でしたね。
今年はパッケージができあがっているチームも多いので、足下をすくわれないように毎戦ポイントを取りこぼさないようにしていくのが大事ですね。
今回は正直なところみんなで「勝ちにいくぞー!」というほどクルマも煮詰まってなく、どちらかというと「表彰台に立てればいいな」という感じでした。予選7位も上出来だったし、決勝も雨に翻弄された難しいレースだったけど5位に入れたのは良かったかなと。
前の集団は速さが違ったし、目の前の86号車も抜けそうだったけど、無理に抜くのはちょっとリスキーでした。とりこぼししているライバルもいる中で、6ポイント取れたのは大きいと思います。今日の結果で今年の勢力図が見えましたね。
結果から言うと5位だったので、僕の7年連続表彰台は逃してしまいました。しかし、JAF勢の速さを考えれば5位は上出来だと思いますし、納得しています。まあ、GT3勢の中では3位ということで。
僕らのチーム力はクルマが変わっても健在で、今日はこのクルマが持っているポテンシャルの中ではベストなレースができたと思います。SLSは岡山が一番苦手だと思うので、今後に期待したいと思います。