2018 AUTOBACS SUPER GT Round7 AUTOPOLIS GT 300km RACE
10月20日 予選5位
10月21日 決勝19位
タイヤと路面が合わず、今季初のノーポイント
■10月20日(土) 一発の速さを見せて予選は5位で通過
2016年熊本地震の被害から復旧し、昨年は第3戦として5月に開催された九州・オートポリスでのレースは、今年は震災以前と同じく10月の第7戦に戻された。第7戦はレギュレーションにより、ウェイトハンデが獲得ポイントの2倍から1倍に減る。第6戦の約半分の重さになることでマシンのパフォーマンスは高まるが、一方で特にオートポリスは時期的にも気温が読みづらく、タイヤ選択が難しい1戦だ。
予選日の天候は晴れ。気温は15度と肌寒いが、日差しが強く路面温度は35度まで上昇した。予選1回目は片岡選手が担当。コースインしてタイヤを温め、アタックラップに入る。順調に3つ目のコーナーをクリアしたその時、前方でスピンした車両がコースを塞ぎ、赤旗中断となってしまったが、その後残り時間5分で予選再開すると、片岡選手は「1‘44.078」を記録して7番手で予選1回目を通過した。この赤旗によりアタック中断を余儀なくされた上位チームの中には、そのまま不通過となったチームも出て波乱の幕開けとなった。
予選2回目は谷口選手が担当。タイヤを温め3周目にアタック、上位に遜色無い「1‘43.428」を記録して、チェッカーまで数分を残してピットに戻った。結果は5位。決勝は3列目5番グリッドからのスタートだ。
■10月21日(日) 2ピット作戦が上手く機能せず19位で終わる
決勝日も雲ひとつない快晴に恵まれた。だが、このことが結果的に0号車を苦しめることになる。レース開始時の気温は17度、路面温度は36度と想定よりかなり高い。この環境では、今回持ち込んだタイヤでは路面とのマッチングが悪く、チームは苦肉の策として2ピット作戦を行なうことになった。
スタートドライバーは片岡選手。レース1周目から、前を走る61号車(SUBARU BRZ R&D SPORT)に仕掛けていく。サイドバイサイドになり一時は前に出たが、その後のコーナーでやや膨らんでしまったところをすかさず抜き返されてしまう。3周目には34号車(Modulo KENWOOD NSX GT3)にも抜かれ、6位にダウン。そしてチームはこの周に早くも1回目のピットインを敢行する。タイヤを4本交換してドライバーは交代せず片岡選手のままコースに戻した。
アウトラップは28位と最下位1つ前まで順位を落としたものの、ニュータイヤの恩恵でペースが上がり、次々とオーバーテイクしていく。14周目には23位まで順位を戻すが、17周目にライバルチームのコースオフによってセーフティーカーが導入された事を受け、チームはセーフティーカー明けの23周目に2度目のピットインを決断する。タイヤ4本を交換し、ドライバーは谷口選手に交代してコースに送り出す。アウトラップは26位だったが、順調に前車をオーバーテイクしていき、44周目に19位まで順位を上げた。
しかしここから、前を走る117号車(EIcars BENTLEY)と長いバトルが始まる。ラップタイムがほぼ同じ上に、狭くてパッシングポイントが少ないコース特性もあり、抜けそうで抜けない状態が続く。
バトルは17周に渡り、ついにオーバーテイクが叶わないまま61周目に19位でチェッカーを受ける。今季初のノーポイントレースを喫し、シリーズランキングは4位に落ちた。なお、ランキングトップの55号車(ARTA BMW M6 GT3)は4位でゴールして8ポイントを獲得した。これによりトップとの差15ポイントで次のシリーズ最終戦に挑む形となった。
最終戦に向けての大事な一戦でノーポイントは非常に苦しいが、それでもシリーズチャンピオンの可能性はまだ無くなってはいない。一縷の望みに賭けて、最終戦もてぎは全身全霊で挑む。
■チーム関係者コメント
ポイントを取れなかったのが残念です。ちょっと攻撃的にタイヤをチョイスしちゃったのかもしれません。ポイントを多く取って最終戦を迎えたいという気持ちが強すぎたんでしょうね。最初にピットインもダメになる前に入ろうという作戦だったのですが、想像以上にすぐにダメになってしまい、3周で入れることになりました。他のチームもタイヤが苦しそうだったので、硬めのタイヤを持って来たチームが最終的に速かったですね。最終戦もてぎはポールトゥウィンがマストに近い状況ですが、こちらには「もて岡」がいるので期待しましょう。かなり混戦になるので、見ている人は面白いでしょうね。
最初のピットインはいろんな人から「なんで入ったの?」と言われました。予選で1回しか使ってないタイヤなのに3周でピットに入ったらトラブルかと思いますよね。でもそのくらいタイヤを外してしまったんです。僕のレース人生の中でも最小周回数じゃないかな。少しでも前に行けるように2ストップで行こうとなって、良い感じでセーフティーカーも入ったんですけど、2回目のピットで出たところが悪く、万事休すでした。出た場所によっては、もしかしたらポイント圏内だったかもしれないけど、さすがにこのレース距離で2回ピットに入っちゃうと勝負権はなくなってしまいますね。チャンピオンシップは終わったわけではないので、小さな可能性かもしれないけど、最後は全力で頑張るしかないです。
たくさん作戦を考えたんですが、どれを選んでも結果は変わらなかったかなと。練習走行を走った時点で底が見えてしまって、予選は頑張って5位につけましたが、決勝は相当難しいとわかっていました。それでもいろいろと手を尽くしてみたものの、やはりダメなものはダメでした。ただ、チャンピオンを獲るにはかなり苦しい状況になってしまったけど、幸い可能性はゼロではないので。まだチャンピオンの権利を持ってますから。今回の結果は今回のこととして、気持ちを切り替えてもてぎで1位を獲れるように頑張りたいと思います。
今回はタイヤ選択を完全にしくじってしまいました。気温と路温が、想定よりもかなり上がってしまって、この時点で負けは確定してしまいました。セーフティーカーあけのピットインのタイミングをずらせば、もう2つか3つ順位が上がったと思いますが、どちらにせよポイント圏外でしたね。持ってるカードに選択肢も少ないし幅もないから、厳しかったですね。特に55号車が大きなポイントを取ってしまったので、チャンピオンの権利が残っているとはいえ、赤に限りなく近い黄色信号になってしまいました。ただ、最終戦は得意なもてぎなので、一花咲かせます!