2018 AUTOBACS SUPER GTRound8 MOTEGI GT 250km RACE GRAND FINAL
11月10日 予選3位
11月11日 決勝3位
最終戦もてぎは3位表彰台もシリーズ連覇を逃す
■11月10日(土) タイヤとの相性もよく予選は3位を獲得
第8戦ツインリンクもてぎは、1年を締めくくる最後の戦い。このレースはレギュレーションにより、性能調整はそのままながら、全車ウェイトハンデを全て降ろして本来のマシンの性能でライバルたちと真っ向対決をする。
前戦を終えて0号車(グッドスマイル 初音ミク AMG)はポイントリーダーの55号車(ARTA BMW M6 GT3)から15ポイントビハインドの4位。最終戦でこの大差を覆すにはポールポジションを取って決勝レース2位以上、且つ55号車が6位以下、もしくは0号車が優勝して55号車が7位以下という条件をクリアしなければならない。
11月10日の予選日はこの時期のもてぎにしてはかなり気温が高く、朝の練習走行の時点では気温17度、路面温度19度。しかし持ち込んだタイヤはうまくはまり、同セッションでは谷口選手が「1‘47.985」を記録してクラス2位で終了と、予選に向けて期待の持てる結果となった。
午後2時、予選1回目。この頃には多少雲は出ていたが、気温22度、路面温度26度まで上がり、暑さを感じるほどになっていた。まずは谷口選手が1回目を担当。4周目からアタックを開始し、5周目に「1‘46.917」の好タイムを出してすぐにピットに戻った。最終的に3番手で危なげなく通過する。このとき1位は11号車(GAINER TANAX GT-R)の「1’46.553」、2位は55号車の「1’46.775」とチャンピオンの権利を有するチームが上位を占めた。
続く予選2回目は片岡選手が担当。昨年は「1‘46.076」というコースレコードでポールポジションを獲っている。セッション開始後すぐにコースに出ると、タイヤを温め4周目にアタック開始、「1’46.181」と好タイムを叩き出す。だが、88号車(マネパ ランボルギーニ GT3)がコースレコードを塗り替える「1‘45.911」でポールポジションを獲得。2位もコースレコードとなる「1’46.008」で65号車(LEON CVSTOS AMG)が獲得し、0号車は3位で予選を終えた。
ポイントリーダーの55号車が10位に沈んだものの、ランキング2位の65号車がフロントロウにつけるなど、決勝レースも一筋縄ではいかなそうだ。
■11月11日(日) 連覇はならなかったが3位で今季3回目の表彰台
決勝日を迎えたもてぎ、天気は朝から快晴となった。ウォームアップ走行前にチームが計測したところ、気温25度、路面温度30度という季節外れの高さで、スタートを担当する片岡選手はウォームアップでのタイヤの摩耗を心配していたほどだ。反対に、タイヤ無交換作戦を狙って硬いタイヤを選んでいるはずのライバル達には、高い路温がプラスに働いてしまうかもしれない。
3万7000人の観客が見守る中、SUPER GT 2018最後の戦いがスタートする。0号車は1コーナーではやくも65号車をイン側からオーバーテイクし、2位に浮上。そのまま88号車を追う展開になった。しかし、ポールスタートの88号車は明らかにペースが速く、1周目から後続を引き離しにかかる。
このとき、65号車は61号車(SUBARU BRZ R&D SPORT)と11号車にも抜かれて5位に転落、61号車は0号車のすぐ背後まで迫ってオーバーテイクを狙ってくる。テールトゥノーズになり、前を追うレースから一転後続を抑える展開になったが、ピットに入る20周目まで抜かれることなく防ぎ切った。
一方でトップを独走していた88号車は19周目に突然左リアタイヤがパンクする。発生場所がピットレーン入り口近くだったため最小限のロスでレースに復帰できたが、ほどなくして再びタイヤがパンクしてしまい緊急ピットイン、戦線を離脱した。
0号車は20周目にピットインすると、左側のタイヤ2本のみを交換、谷口選手に交代してコースインする。しかし、その1周前にピットインしタイヤ無交換作戦を採った65号車の前に出ることは叶わず、この時点で実質1位が65号車、0号車は2位となった。
続いて暫定トップを走っていた31号車(TOYOTA PRIUS apr GT)が31周目にピットイン、こちらもタイヤ無交換でコースに戻った結果、0号車の前に出る事に成功する。これによりこの時点で0号車は実質3位となる。
その頃ポイントリーダーの55号車はペースが上がらず、次々に順位を落として9位となっていた。こうなるとシリーズチャンピオンの行方はいよいよ分からない。65号車、31号車、0号車の上位3台はみな優勝すればそのままチャンピオン確定となる。33周目から始まったこの3台のバトルは終盤までもつれ込んでいく。
だが、65号車が頭ひとつ抜けたスピードを見せ、31号車と0号車を徐々に引き離していく。0号車は31号車をロックオンしたもののなかなか抜けずに周回を重ねる。そこに序盤でコースアウトし、最下位に転落したにも関わらず、驚異的な速さで4位まで上がってきた87号車(リーガルフロンティア ランボルギーニGT3)が加わり、2位から4位が三つ巴のバトルを繰り広げる。しかしこれが65号車の独走に拍車をかけてしまう。
レースは完全に膠着状態だったが、残り6周でトップの65号車に異変が起きる。急激にペースが落ちて、10秒以上あった2番手グループへのマージンがみるみる削られ、残り2周時点で3秒を切ったのだ。チーム関係者は0号車の最後の大逆転を期待する。
しかし65号車は首位を譲ることなく逃げ切り、トップチェッカーを受ける。55号車は9位に沈んだため、同チームは初となるシリーズチャンピオンに輝いた。0号車は31号車を抜くことができず、3位のままゴール。今シーズン3回目の表彰台に立つも、最終的に2018年のシーズンランキングは4位となった。
チームでは2012年、2015年に続き3度目となるシリーズ連覇への挑戦だったが、残念ながら今回も達成できなかった。しかし3度表彰台に立ち、第7戦を除いて全戦でポイントを獲得するなど、チームの総合力が今も高いレベルにある事は間違いない。また1勝目から積み上げ直すのみである。
■チーム関係者コメント
もうちょっとだけタイミングや運がよければ、作戦通り65号車の前に出られたと思うんですが、みんなチャンピオンを狙っている一戦だったから、どのチームも攻めた作戦でくるので仕方なかったですね。65号車も最後はタイヤが厳しかったみたいですけど、それでも守れたのはしっかりとマージンを作ったからだと思うし、彼らから学んだことが多かったかなと。ただ、シーズン通して勝ちがなかったのは残念でしたね。BoP(性能調整)が厳しい中で、Mercedes-AMG GT3を使ってレースをするというのは、他の国でもそうみたいですが、取りこぼさずにポイントを重ね、シリーズを狙うやり方なんだと改めてわかりました。
今シーズンを総括すると、取りこぼしが少なくてまとまったシーズンではあったんですが、極端な強さを見せられなくてファンの皆様に申し訳なかったです。ただ、鈴鹿10時間耐久レースも面白かったですね。AMGを使うことによって僕たちのフィールドが広がった、そんな1年でした。
複雑で微妙なレースでした。ドライバーもメカニックたちもノーミスでやってくれたし、もし65号車の前でコースに戻ってたら抑えきってくれてたかもしれない。一瞬の差でチャンピオンか否かの別れ道になってしまいました。タイヤ無交換のチームが多かったうえに、その無交換のマシンを抜けないから、今後はもっともっと作戦を練って、そういうギリギリのレースを勝てるような組み立てをしないといけませんね。新しいシーズンに入る前からテストとかで考え方をもう一回仕切り直ししないと。今回に限っては、65号車は強かった、こっちは足りなかった。それがすべてです。
今回のレースでは、できる限りのことをできる限りやったかなと。運も味方してる感じがありましたが、単純に勝つ力が足りませんでした。途中の31号車とのバトルはこちらのタイヤがズルズルで、むしろ後ろを抑える展開になってしまい、さらに65号車と比べても力負けしていました。シーズンを振り返ってみると、正直開幕戦から表彰台に1度も乗れないんじゃないかって思っていたけど、実際は3回上れて、でも優勝は一度もなくて、残念な1年でしたね。
今年は一度も主役になれないまま最終戦を迎え、BoPも含め、マテリアルも含め、いろんなものの総合力が問われた最終戦でした。今シーズンでは唯一オートポリスでタイヤ選択の失敗はありつつも、毎戦常にベストは尽くしてきましたが、今回も勝つ力がありませんでした。基本的に苦しいレースが続きましたが、苦しいなりに頑張れたシーズンだったんじゃないかと思います。